Arnett Cobb『Moving' Right Along』で得した気分
不勉強で、Arnett Cobb(ts)の名前を初めて見た。『Moving' Right Along』(Prestige)は、大手CDショップの安売り箱から、たまたま手に取ったCDである。980円と安かったし、Bobby TimmonsやSam Jonesなど知った名前もあり、録音技師がRudy Van Gelderであることもあってレジに並んだ。

早速聴いて、元気で明るいサックスに驚いた。ニコニコ気分である。調べてみると、結構多難の人生を送ったプレイヤーである。
Arnett Cobbは、1918年テキサス州ヒューストンで生まれた。コテコテの南部であり、黒人であるゆえの差別も激しい時代だったのではないだろうか。地元で演奏を続けていたが、1942年からLionel Hamptonのオーケストラに加わり、『Flying Home No.2』が大ヒット、一躍有名になったが、1948年に脊椎骨の手術をする。活動を再開したと思ったら、1956年に交通事故にあい、松葉づえ生活を余儀なくされる。しかし、1959年には演奏活動を再開、60年代をテキサスを中心にサイドマンとして活躍。その後、多数の録音を残している。『Moving' Right Along』は、1960年2月の録音である。1989年に死亡。
『Moving' Right Along』を聴きながら、Cobbの経歴を調べていたが、闘病生活の暗さを一切感じさせず、サックスの音はやけに明るい。さっぱりとしたブルースというのだろうか、Buck Clarkのコンゴのリズムとサックスの音が弾みながら進む。少々古くさいのかも知れないが、力強いサックスの音色と節が魅力的だ。
「闘病=悲劇=暗い」というのは日本の私小説の読みすぎなのであろう。

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