2004年1月21日

山中千尋トリオ『Living Without Friday』

 山中千尋である。2001年秋に、澤野工房から発売されたファースト・アルバム『Living Without Friday』は、緑の平原(海?)の上の青空をカモメが飛んでいるジャケットが目をひく。裏の写真を見ると、本人はかなり美人であることも分かる。私は、発売当初はまったく気がつかず、02年に発売になったセカンド・アルバムと合わせて購入した。で、大ファンになってしまった。
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 以来、03年2月、大阪でのDVD撮影の公開録画、8月、浜離宮朝日ホールでのコンサート、TUCでのライブ、12月、第一生命ホールでのウィンター・ツアー、JZ Bratでのスペシャルセッションと恥ずかしい「おっかけ」のように出かけている。

 ジャズを聴いていると、楽しい一方で寂しい気分にもなる。CDの録音日をみていると、どうしても1950年代、60年代の録音が一番楽しく、その時代を想像するだけで、ぞくぞくする。なるべく最近のジャズも聴くようにしているが、どうしてもあの輝いていた時代が羨ましい。よって、ほとんどライブやコンサートには行かず、CDを買い集めて聞いていた。
 しかし、過去ばかりでなく、同時代の演奏者を生で体験したいと思いが募っていたときに、目に入ってきたのが山中千尋だったのである。美人であるのは、きっと無関係である、と思う。それに、ニューヨークに住んでいるので、そうそう頻繁に来日しないので、追っかけすぎて生活に支障をきたすこともない。
 テレビを見ない生活をしているので、『情熱大陸』(TBS、毎日放送系)の番組は見ていないが、曲間のMCで話す言葉の端々に、山中の自信と情熱を感じる。それに、びっくりするくらい小柄だが、演奏中には、腕と肩の筋肉が激しく動き、スポーツ選手を見ているようだ。
 で、『Living Without Friday』である。1曲目は「Beverly」。山中のオリジナルである。優しい感じで、まずはCDデビューのご挨拶といったところか。2曲目は、「Girl From Ipanema」で、ブラジルのGershwinと言われることもあるAntonio Carlos Jobimの名曲。Stan GetzとJoan Gilbertoの『Getz/Gilberto』(Verve)での演奏が有名だ。山中の演奏は、原型(?)をとどめていないと言うか、楽しいアレンジになっている。次は、山中がファンだという中島みゆきの「砂の船」。「A Sand Ship」と題され、懐かしいような「歌謡曲」が流れる。これがジャズかどうかはともかく、面白がって演奏する様が浮かぶようだ。
 4曲目はオリジナルの「Living Without Friday」で、軽やかなリズムで進みつつ、ヤマ場をきちんと作っている。。8曲目の「Stella By Starlight」は、バイオリニストで作曲家のVictor Youngの作品で静かな雰囲気の中、音の少ない空間が広がる。9曲目は、Wayne Shorterの「Black Nile」。黒いというより、暗い夜の景色が似合いそうな気がする。最後は、ピアニストLars Janssonの「Invisible Friends」で締める。メロディの一つ一つ音がハッキリ聞こえ、さわやかで、フェードアウトする終り方は、次のアルバムへの期待が膨らむといったところか。

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