五木寛之『青年は荒野をめざす』を読んだ
五木寛之の作品を初めて読んだ。毛嫌いしている作家の一人だが、渋谷のTower Recordで棚に並んでいた。表紙を見て、『青年は荒野をめざす』(文春文庫、1967年発表)が、「ジャズ小説」(?)ということを知って買ってきた。
20歳の主人公、北淳一郎がロシア航路で海外に出発する場面から、ポルトガルのリスボンからニューヨークに向かう場面で終わる小説。「ジャズとは何か」を求める旅で、モスクワ、ヘルシンキ、ストックホルム、コペンハーゲン、パリと各都市で、出会いと事件が続く。もちろん、主人公のトランペット演奏で、危機を逃れ、出会いの輪が広がっていく。
ジャズを通じて、「自己形成」していくお話が受け止められた「時代」を羨ましく思う。最初発表されたのは「平凡パンチ」で、その読者も主人公と同世代だし、皆感情移入して読んだのであろう。
もちろん、40年近く前の小説で、今からは考えにくい場面も多いけれど、さっそうと流れるように時間と空間、出来事を展開する五木の文章は上手いと思う。娯楽作品でもあり、「いかにも」な展開で、「うっそー」と思わせる出来事も自然にみえる。で、それこそがいわゆる「ジャズ」なのだろう。
でも、これ以上、五木の作品を読みたいとは思わない。結局、「毛嫌い」のままである。
そういえば、最近文庫になった奥泉光の『鳥類学者のファンタジア』も「ジャズ小説」であった。書棚の奥からとり出してみよう。
