2004年5月16日

東京TUCで、山中千尋のライブの音を浴びてきた

 東京・岩本町のジャズ・クラブ「TUC」で、山中千尋ニューヨーク・トリオによるライブを聴いて、帰ってきたばかりである。アルバムで見せてくれる表情とは違った山中の迫力と気迫の演奏で、音の洪水を浴びてきた。よって、帰路はウキウキである。
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 ニューアルバム『Madrigal』(澤野工房)発売を記念した来日ツアー「Madrigal」の追加公演で、ピアノの山中のほか、メンバーはHarvey Wirht(ds)とAdam Armstrong(b)。狭い会場に100人以上が詰めかけ、超満員である。

 3人は、「Madrigal」のロゴのプリントされたシャツで登場。ツアーは、12日の大阪から始まったばかりで、テンションも高そうだ。最初は「Madrigal」。
 アルバムより迫力のある演奏で、まず圧倒される。山中本人のMCによれば、「ツアーが始まってどんどん盛り上がってしまい、ロックのような演奏になった」とのこと。一方、アルバムの演奏は「上品」なのだそうだ。
 2曲目は、2枚目のアルバムのタイトル曲「When October Goes」で、歌を口ずさむように演奏し、続けて「School Days」に突入する。激しい演奏だ。新アルバムに収録されたペギー葉山で有名な曲である。4曲目は「Caravan」で、これもアルバム以上に過激である。「隊商」はどこへ向かうのか!
 5曲目も2枚目のアルバムに収録された「Ballad For Their Footsteps/Three Views of a Secret」で、会場の雰囲気を落ち着かせる。ファーストセッションの最後は、1枚目のアルバムのタイトル曲<「Living Without Friday」で、山中のオリジナル曲だが、進化したとしか言いようのないアレンジで激しい。
 ホールでのコンサートでなく、小さなジャズクラブでのライブの魅力は、演奏者の表情や動きが手に取るように分かることである。もちろん、音もお腹に響くけれど。
 ドラムスとの眼のやり取り、曲目を告げる声も楽しいし、鍵盤をたたく指先の動きもハッキリと見える。そして、大好きなお酒を飲みながら聴けることが何よりも嬉しい。禁煙なのは仕方ないけれど、心も頭も身体も耳も全開である。
 短い休憩のあとは、「Taxi」で始まる。2枚目のアルバムに収録されているより、エモーショナルな編曲が施されていて、やはり激しい。山中の魅力の一つにライブでの「暴走」がある。どの曲もテンポが速い。そして、椅子の上で踊るように動き、髪を振り乱して演奏する。観客には最高のパフォーマンスである。
 後半2曲目は、新アルバムの中でもお気に入りのひとつ、「Living Time Event V」。山中の恩師であるGeorge Russellの作品で、指のさばきと速度、ピアノをわが物にしているかのような挙動に感動する。しかし、曲自体は本人のMCによれば、恩師の作品とはいえ、「クサイ曲」だそうだ。3曲目は定番中の定番「Take Five」で、ドラムスのソロが決まっている。「Yagi Bushi」もイントロが盛り上がりをさらに高める。で、おしまい。
 アンコールは、学生時代の作曲という「One Step Up」。メロディーより、リズムのやり取りが楽しい短い作品だ。
 MCで明かしていたけれど、新アルバムに収録された「Lesson 51」という作品は、40トラックもの音を重ね合わせた作品で、かなり苦労し、スタジオを延長して使用したとのこと。英語で意味不明な寝言も言っていたという。帰りの地下鉄では、iPodで「Lesson 51」を改めて聴いてみた。寝言は聞こえないけれど、髪を振り乱しながら、スタジオのソファで寝てしまった山中が浮かんでくるようであった。
 19日、22日のコンサートも聴きに行く予定で、それもまた楽しみである。

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