2004年6月 4日

輸入CDを規制するかもしれない法改正が成立した

 毎年いくらつぎ込んでいるか恐くなるCD代だけれど、そのほとんどは輸入盤である。値段が安いというのもあるけれど、輸入盤しかない、という理由も大きい。そんな楽しみを奪うかもしれない法改正が国会を通過した。MSN-Mainichi INTERACTIVE
 通過したのと同じ頃、読んでいたのが『だれが「本」を殺すのか』(新潮文庫、2004)である。2001年にプレジデント社から出版され、話題を呼んだ本で、今回文庫化に当たって、その後の動きをまとめた「検死編」を加えた決定版である。本の製作、流通、販売、読者の変容と行き詰まりを指摘している。
 ふたつは全く関連がないようだけれど、重なっている。要は小さな売上しかない業界が生き延びていくのは難しいということだ。

 書籍の2003年の売上は年間9100億円、雑誌は1兆3000億円である(同書による)。またCDの年間売上は3900億円である(日本レコード協会より)。ちなみにトヨタ自動車の2003年度の連結決算の売上ではなく、経費を引いた純利益が、1兆1千億円を超えている。
 なんと本もCDも規模小さい業界であろうか。
 本でもCDでも最低限売れて欲しい数字を5000冊(部)とすると、単価を仮に2500円として売上は1250万円である。純文学の売上など2000部とも言われるので、5000部自体が非現実的かもしれないが、仮の数字である。
 で、1250万円であるが、これは売上金額で、このうちから製作費がさっ引かれる。すなわち本であれば紙代、印刷代、製本代があり、流通段階での手数料もある。もちろん、書店やCDショップの取分がひかれ、版元、レコード会社、作家、演奏家、作曲者に渡る金額は半分以下であろう。しかし、よくよく考えてみれば、1250万円とは大手企業の40歳を過ぎた世代の額面の年収と変わらないではないか。
 音楽にしても文学、研究など知的作物は、決して金額に換算できない。「だからいらない」わけではない。
 そして、「勝ち組」と「負け組」と単純にものごとを区分けして競う限り、たかだた一人のサラリーマンの年収しか売り上げない商品が蔑ろにされてしまうのは明らかである。工場制大規模工業と家内制手工業くらいの違いがトヨタと出版、CD業界にはある。両者を同じ土俵で並べたら勝負は目に見えている。
 爆発的に売れた『バカの壁』(新潮新書、2003)が300万部を超える部数を売り上げても、1冊714円で売上は21億円である。著者の印税を10%として2億円。この数字を大きいと見るか、小さいと見るかは、よくわからない。ただ、ここまで売れる本を出版できる確率はかなり低いだろう。「産業」とすれば「確率」が低すぎるのではないだろうか。宝くじで、一等賞金3億円を手にするよりは確率は高いだろうけれど。
 2000円の本が2000部の400万円くらいの売上で皆がハッピーになるくらいの、「ぼちぼち」社会であって欲しいものである。
(※moondialさんから数字の間違いを教えていただきました。少し、文章を直しました。2004/6/7記)

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