2004年12月23日

アキコ・グレースの新作と都市

 ジャズといえばニューヨークである。マンハッタンのざわついたパワー溢れるイメージとジャズは切っても切れない、と思う。
 都市のイメージと、音楽のイメージはえてして重なり合う。ジャズだけでなく、レゲエであればジャマイカだし、アルゼンチンといえばタンゴ、浄瑠璃だったら大阪、シャンソンといえばパリ、フォークは新宿駅西口、サンバは。キリがないのでやめるけれど、いくらでも思いつきそうだ。
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 メジャーなSavoyレーベルから次々と新作を発表するアキコ・グレース。1974年生まれで、2002年から『From New York』に始まるニューヨーク録音3部作を発表、04年には東京で録音された『Tokyo』。で、今度はノルウェーの首都、オスロである。

 『From Oslo』(2004, Savoy)の録音はECMレーベルの録音で知られるRainbow Studio。ちなみにECMレーベルのCDを私は一枚も持っていない。涼しげなジャケットを見るだけで、手は棚に戻ってしまうのだ。あまり、自慢にならないけれど。
 前作の『Tokyo』で少し首を傾げたけれど、今回は更に首が前にうなだれてしまった。
 悪いわけではない。繊細な透明感のあるサウンドで奇麗である。「和風」でないのもよい。でも、「好きな」ジャズではなかった。
 出だしのオリジナル「New Moon」から静かな水面を感じさせるスタートを見せる。3曲目の「Waltz For Debby」では、Bill Evansの演奏に合った「静かな中に秘められ力強さ」はなく、「冷静感」が漂う。9曲目は、オスロだけに「Norwegian Wood」である。これは「お約束」。
 リーフレットの本人によるメッセージにも、音楽を作ることは物語を紡ぐようなもの、心をクリアにしてくれる魔法、との旨あるので、その意図は達成していると思う。でも、個人的には、何回も続けて聴きたくなることはない。うーん。
 確かに、ピアノ・トリオでオスロと来れば、こうなるのだろうけれど。
 でも、5曲目の「Miles' Dance」は元気でいい。澄んだ元気の良いピアノである。こんな元気な演奏をがんがんに聴きたいものである。
 きっと、北欧ではなく、バングラデシュとかニカラグアとかで録音するといいのかもしれない。「Manhattan Story」のようなアルバムをもっと聴きたいと思うのは、聴取者のわがままだろうか。

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