2005年1月 9日

読書する場所と雰囲気を考えて読む

 書店でフランス小説の邦訳を買って、そのまま近くの店に入る。カウンターでうまいビールを飲みながらページをめくる。小説の舞台はフランスの海岸に近いジャズ・クラブ。そこで、かつてピアノを捨てたジャズ・ピアニスト、シモン・ナルディスとクラブのオーナー女性が運命的な恋に落ちる。パリに残された妻は、事故死する。語り手は、ピアニストの友人で、その後の二人のことを言外にほのめかす。
ClubANight.jpg
 クリスチャン・ガイイ(Chiristian Gailly)『ある夜、クラブで』(野崎歓訳、集英社、2004)は、そんな小説である。表紙にはBill Evansの『Waltz For Debby』(Riverside)のジャケットがあしらわれている。クリスチャン・ガイイは、1943年、パリ生まれで、サックス奏者として活動したが、87年に小説家としてデビュー。この作品が11作目という。

 「ジャズ小説」である。フランスでヒットしたらしいけれど、お話としてはあまりに「できすぎ」というか、「ねらいすぎ」である。ただ、短くてすぐに読み終わるので、飲みながら読むのには最適である。バーでドゥルーズの『差異と反復』を読むのは辛い。
 哲学書は、やはりコーヒーを飲みながらだろうし、ジャズ・エッセイは、べろべろに酔っぱらってからの読むのが楽しい。
 この本は、素面で読むときっと腹が立つだろうけれど、ほろ酔い気分にはぴったりの一冊である。ただ、読んできたのがチェーン店のキリン・シティであったのが少々残念である。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kenyama.net/mt-tb.cgi/125

トラックバック

» クリスチャン・ガイイ『ある夜、クラブで』○ from 駄犬堂書店 : Weblog
 妻のために音楽を捨てたジャズピアニストのシモン。業務用暖房システムのエンジニア... 続きを読む