ジャズ・フェスティバルに初めて行った
先日(21日)、東京Jazz2005(NHK、日本経済新聞社など主催)に行った。複数のアーティストが一ヶ所に集まって演奏する、いわゆる「ジャズ・フェスティバル」は初めてだ。

お目当ては、山中千尋さんのトリオで、最初は自らのトリオで、最後は出演者が集まる「Super Unit - Club "Jazzin"」に参加することになっていた。予定では、演奏するのは午後1時からと午後9時過ぎからで、とんでもない長丁場である。
その間に演奏するグループも、日頃聴かない人たちばかりで、それとなく楽しみではある。
ビッグサイトは展示場で巨大だ。天井は高いし、会場も広い。隣の「ワンダー・フェスティバル」(コスプレ?)は、東京Jazz2005の3倍以上のスペースを使っていて、向こうが霞んでいるようだ。
パンフレット(1,000円)を買って、Jim Beamをダブル・ロック(800円)を飲んで席に座る。ピアノの真後ろで端だけれど、前から5列目。ちなみに飲食店はシダックスであった。HMVの出店やNHKのPRコーナーも並ぶ。このイベントは同BSハイビジョンで9月13、14日午後8時から放映されるらしい。
金のキャミソーリ・ドレスで山中さんが登場。、定時の午後1時である。
今まで見た中で、最大の観客の前に立っている。なぜか嬉しくなる。事前に配られたスケジュールによると持ち時間は30分。八木節と新CDの曲、Living...で3曲、あと1曲は何であろうか、と思いを巡らせる。結局、オリジナルを中心に5曲を披露してくれた。
冒頭は「Living Without Friday」。巨大なPAから聞こえる音は、演奏者とこちらの間に1枚の膜が張られているようだ。ベースソロから、ピアノソロに。力強い、迫力ある演奏で、かつてのCDの同曲から、どんどん離れていく。一転して静かなピアノソロで始まる「In A Mellow Tone」。アレンジが楽しい。最後の3曲は、MCで「9月7日に発売される新しいアルバム」からと紹介された「Impulsive」、「Outside By The Swing」、「Yagibushi」だ。ライブで聞き慣れた「Impulsive」はベースソロが楽しい。続く「Outside By The Swing」は低音を印象的な鳴らすピアノで哀愁の漂う雰囲気。心地よいベース・ソロから、一気に八木節世界に入る。パワーアップした八木節が天井に響いて、終了。35分。物足りないが、次もあることだし。
で、続くTerance Blanchard(tp)であるが、恐い悪人顔で写真より太っていて、いかにも「トランペッター」という風情がいい。でも、これだったらアジアの民俗音楽でも聴いていた方が楽しそうな退屈な演奏である。
期待していたGary Burton(vib)は良かった。vibの音色は余り好きではないのだが、スタンダードがあって、ソロがあって聴衆の拍手がある。ジャズはこれである。ピアノのVadim Neselovskiの表情などコメディアンである。ただ、いかんせんPAの音に違和感がある。ウッド・ベースの音がエレキベースのように聞こえるのだが、そんなものなのだろうか。
かなり人気のあるMarcus Miller(b)だが、エレキ・ギターはキンキン五月蝿いので大嫌いである。曲目など舞台の構成はうまいものの、「田舎者」の楽器(エレキギター)は、どうころんでも、つまらない。
長い休憩では、東京Jazz2005の初日にOpening Actを務めた工事現場の作業員「HIBI★Chazz-K」が入り口でスタンダードを披露する。フェスティバルらしい演出で楽しい。しかしジャズ・プレーヤーは大変だ。

リハーサルが長引いているということで、夜の部の開場は40分遅れ。「やれやれ」と席に座るものの、午後7時半に始まった「TKY」と呼ばれるグループの演奏を聴いて、気分が悪くなった。エレキギターをガンガン鳴らして、身内のなれ合いを数千人(?)に前に披露する神経と感性が信じられず、会場の外に出る。外の秋の気配を感じさせる風が気持ち良い。
続いて、おそらくメインイベントであるHerbie Hancock率いるHeadhunters '05である。「Maiden Voyage」で始めるあたりは「つぼ」をおさえている。で、背後にはApple社のiMacG5が起動している。しかし、予定より1時間遅れて始まり、1時間遅れて終わったため、最後のプログラム「Super Unit - Club "Jazzin"」に残された時間は20分。予定では50分だった。
Marcus MillerもTerance Blanchardも、もちろんHerbie Hancockも参加して勢ぞろいのユニットで予定通り演奏すればそれなりに楽しそうではあるけれど、短時間の「やっつけ」仕事のようになっていて、Gary Burtonと山中千尋の二人は何とも場違いである。いきり立つ金管、木管セクションをHerbieが抑えて、Gary Burtonがvibを鳴らすけれど、それまでの彼らの演奏とは馴染まない。山中千尋は何とかバックをきちんと取ろうとするけれど、場所からして隅のおまけである。
終了は午後10時33分ごろ。自分の趣味の範囲の狭さを実感しながらも、こういったおわゆる「ジャズ祭」には二度と行かない、と決意した夜だった。
