13回目のライブと15回目の来日
22日、山中千尋さんの新アルバム発売を記念したニューヨーク・トリオのツアー「Outside By The Swing」の東京公演にいった。会場は品川プリンスのステラボール。メモと記憶をたどると、山中さんのライブに行くのは13回目である。
ベースは新アルバムと同じRobert Hurst(1964- )でその表情と迫力が違う。一見恐そうで、機嫌も悪そうにみえる。で、15回目の来日だそうだ。
暗い中に舞台の3人が浮かび上がるように演出された会場で、新アルバムに収録された曲を中心に2時間たっぷりと楽しませてもらった。
ただ、楽しみにしていたJeff "Tain" Watts(ds)が、身内のご不幸で来日できなかったのが残念。急きょピンチヒッターでDamion Reid(1979- )が2日前の富山公演から参加した。忍者になりたくて、日本刀をお土産に買って帰ろうとする好青年である。
会場は大ホテル複合施設の中にあって分かりにくい。入口は水族館やシネコンと共通で迷う。でも天井の高い会場の後ろには、ビールとワインの他、ソフトドリンクも売っていている。飲みながら聴けるのは嬉しい。
3人だけがふわりと浮かび上がるような照明になっているので、舞台に3人しかいないという「寂しさ」感はなく、高級な感じ。黒を背景にしたジャケット写真のように。2階席もあって盛況だ。
ちなみに山中さんの髪形(束ねて後ろに上げる、とでもいうのだろうか)は、最近見かける上原ひろみのようだ。
演奏した曲目は以下の通り。
1st Set
1、Living Without Friday
2、Teared Diary
3、In A Mellow Tone
4、Matsuribayashi/ Happy- Go - Locky Local
5、I Will Wait
6、Impulsove
(15分休憩)
2nd Set
7、Hackensack
8、Cleopatra's Dream / School Days
9、Ballad For Their Footsteps / Threee Views Of A Secret
10、Outside By The Swing
11、He's Got The Whole World In His Hands
12、All The Things You Are / Yagibushi
アンコール
13、Take Five
14、Candy
山中さんが登場し、メンバーを紹介し、演奏を始めるとおもむろに黒い上着をとって床に投げる。気合が入っている。ところが、最初だからか、会場の雰囲気堅い、Hurstのソロの後も、「シーン」である。あまりに誰も拍手しないと、自分から拍手する勇気も萎えてしまう。私も赤ワインもまだ2杯しか飲んでいない。
山中さんの魅力の一つに、オリジナル曲の明るくて気持ちの良いメロディーがあると思う。新アルバムでお気に入りの5には、心底聴き入ってしまう。こんなオリジナルをこれからも、作って欲しいと思う。
今回のトリオだと、やはりベースのHurstの演奏も気になる。全般的に、ベースソロも多かったようだ。片足のつま先をたてて、余裕の表情(恐いのではなく、巨体から来るパワーで余裕の表情だったのだ)から、弾き出されるベースの音。2のベースのイントロや4、5のベース・ソロが気持ち良い。ベースをフィーチャーした9も素敵である。
何度も来日しているように、日本が嫌いだとかいいわけでも、別に恐いわけではなく、どちらかというと「コメディアン」系のようだ。山中さんと並ぶと、大きくてやはり恐いけれど。あたらしいCDも発売になるので、「Buy!」と叫んでいた。
ドラムスのReidは、富山から急きょ合流し、山中とも初対面だったとは思えないほどガンガンと音を聞かせてくれる。6のソロには、思いきりの拍手である。
休憩でさらに赤ワイン(500円)を補給する。
セカンドセットの冒頭の7はモンクの古典。ジャズらしいスタンダードで、安心できる。
さて、鍛えられた背中と腕からたたき出される音と「ユルイ」MCのギャップも山中さんの魅力の一つ。今回はピアノの上に、MCのネタ帳でもあるのだろうか、時折目を落としながら、「そうそう」といった表情で話し出す。
何度もライブで聞いているけれど、少しずつ「上手く」なって、「ユルサ」加減が絶妙になってきたようだ。日本語が分からない2人の前で日本で話しているわけで、2人は退屈だろうけれど、時折、「コメディアン」などの外来語が混じると、2人が反応するのも楽しい。日本語を解するYagizaのときは、止めどもなく「ユルク」なって、それはそれで好きである。
さて人気曲の8は山中さんは「すきではない」そうで、終わった後「やっと終わった」とつぶやく。人気曲をアルバムに収録し、会場でも演奏すべく、レコード会社に言われているのかもしれないけれど、私はすきである。いろんなパーツ、フレーズを盛り込んだ演奏は聴いていて、ワクワクしてくる。出だしも良かった。途中に「School Days」を挟む。
10は、「フリーっぽいので短め」とのことだったけれど、CDより力の入ったピアノである。折角なので、もっとガンガンやってくれても良かったように思う。
これまたお気に入りの11では、ベースとピアノのソロに御機嫌である。思わず声を出して歌いたくなりそうだ。ベースをフィーチャーした12の「All The Things You Are」は、ナマだけにドラムスの音の圧縮感が身体に響く、加速して終わると、「Yagibushi」のかっこいいベースソロである。これも目の前で音が鳴っているかと思うとにやついてくる。聞き慣れた「テーマ・ソング」だけれど。
アンコールは2曲。聞き慣れた13と、ピアニカを必死に吹く14で締める。8時半近い。
ちなみに富山公演の後の打ち上げで、寿司屋に行ったメンバー。お店に綾小路きみまろが来ていて、山中さんの母親は大感激だったそうだ。楽しそうでなにより。
12月3日には千葉のクラブ・イクスピアリでライブがある。午後5時半開場で、7時から演奏スタート。チャージが6300円。こればかりは行けそうもないので残念である。

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