『資本論』を読む『資本論も読む』とCDの売れ行きを予測する『CDは株券ではない』を読んだ
劇作家で演出家の宮沢章夫氏の"『資本論』も読む"(WAVE出版)は、高校時代からの「夢」だったカール・マルクス『資本論』を読むドキュメンタリーだ。一方、音楽家の菊地成孔氏の『CDは株券ではない』(ぴあ)は、2003年秋から2年間にわたるシングル・チャート「予想」の記録である。
どちらも、「ご苦労様」として言いようの無い読後感。2冊とも気楽に読める。そのあと、ちゃんと読まないとなあ、と、絶対聴くことはないだろう、と対照的なような結論が沸いてくる。
確か、作家の椎名誠氏が、月刊「旅」の時刻表特集で、時刻表を全部「読む」というもだえ苦しむような活字中毒者ぶりをドキュメントしていたし、その前に「文藝春秋」を読むという企画もあった。壮大な著作(活字群)を読み通すという行為にはどこか魅力を感じてしまう。
ちなみに資本論の方は、それなりに入門書になっているような気がするけれど、『資本論』の収録されている大月文庫を探して、駅前の書店に行く若者と、それにまったく答えられない若者店員の姿を想像するだけで楽しい。
CDの方は、ポピュラー音楽を批評することを全く放棄して、単なる売れ行きを予測し(外しまくる)、今の音楽が持っている宿命が浮き彫りになる歴史的な試みといえよう(冗談です)。CDは株券ではない、という結論は最初から分かっていると、菊地は強調するけれど、株式投資のようにしか、供給者側は思っていないのかもしれないと邪推もできる。
いずれにしても、壮大な無駄で、それゆえの「豊かさ」があって楽しい2冊である。
