2006年12月30日

寓話とジャズ・スタンダード

 ジャズ批評社(松坂)から小説集が出た。三田真未さんと「ジャズ批評」編集長、松坂妃呂子さんの共著『スタンダード・ジャズ短編小説集』である。冒頭に三田さんの7編、後半は松坂さん、長めの3編。
 三田さんの作品は、コンパクトな現代の「寓話」のようで、松坂さんの作品は、日本で「ジャズ」が熱かった時代の残り香を感じさせる。

 「ジャズ小説」、ジャズを取り上げた小説はたくさんある。ある時代を反映した物語であったり、ミュージシャンの個性が輝く物語だったり、と。
 ところが、この短編集の前半はちょっと違う。はっきり言ってしまえば、直接ジャズと関係があるかといえば、ない。タイトルがスタンダード曲で、その演奏とメロディから、「何か」を想像するしかない。でも、それは歌詞のない楽器だけのジャズを聴いている時と同じ。ジャズ・ピアニストの山中千尋さんが言うように、言葉で言えることを音楽で表現する必要はない。逆に言えば、言葉で言えることは言葉で言ってしまった方がはやい。言葉と音楽には齟齬がつきものである。

 三田さんのは、短編小説というより凝縮された「寓話」。現代の人間関係と感情を詰め込まれている。短いだけに余韻と、残されるいたたまれなさが辛い。

 一方、松坂さんのテーマは一段複雑だ。直接、「ジャズ」が登場する。舞台装置や背景として。
 親子と男女の不倫、連続爆弾テロ、フリージャズその後。妖しい雰囲気や謎、子供の未来が、長いけれどいたたまれない余韻が残る。1978年ごろに「突然書いた」そうである。

 それぞれのスタンダード曲のタイトルは、読んだことをきっかけに演奏を聴いて欲しい、ということ。そのため、巻末に「アルバム・ガイド」もある。装幀も素敵。レコードジャケットが、紺色のグリッドに配置されている。

 雑誌「ジャズ批評」(2007年1月号)も発売になった。両者へのインタビュー記事も載っている。ちなみに、このkenyama's blogのチョロりと紹介された。

 昨日から冬休み。たまった本とCDを楽しむ。しかし、急に寒くなった。

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コメント

「夏原悟朗の日々」というジャズ小説をブログで連載しております。
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こんにちは。
早速拝見させて頂きます。
これからもよろしくお願いいたします。
kenyama

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