2007年2月17日

ベルギーのピアノ・トリオで快楽

 快楽。暖冬とはいえ、やはり寒い。さらに花粉で眼がかゆい。そんな時は、快楽が欲しいもの。肉欲ではない、快楽である。
EricLegniniBoogaloo.jpg
 Eric Legnini Trioの『Big Boogaloo』(Label Bleu/ビデオアーツ・ミュージック)を聴きまくっている。「顔はにこにこ、心わくわく、足はどすどす」という寺島靖国氏のコピー通り。暖まるのだ。

 Eric Legniniは、1970年生まれのイタリア系ベルギー人。

 90年代には、キース・ジャレット風のアルバムを発表していたようだ。今度探して聴いてみようと思うけれど。
 で、一転、昨年『Miss Soul』』(Label Bleu)を発表し、ヨーロッパのピアノ・トリオから一気にファンキー路線に転換したらしい。本作はその第2弾。

 タイトルの「Boogaloo(ブーガルー)」はWikipediaによると「1965年から1970年ごろにかけて主にニューヨークで流行したラテン音楽の一種。リズム・アンド・ブルース、ソウル、ロックンロールなどの米国のポップミュージックとキューバ〜カリブ系のラテン音楽が混合されたサウンドが特徴」とのこと。「2コードまたは3コードの繰り返しを多用した、明るいパーティーミュージック的なものが多い」とも。

 そう、パーティなのだ。楽しんで、歌って、踊って、食べて、飲んで、酔っぱらって、快楽に身を任せる。

 春を迎える前に、こっちが先に春になってしまえばいいのだ。ジャズを聴く快楽。諧謔であっても、自虐はなく、悦楽の園なのである。

 Label Bleuは、フランス北部のアミアン市文化局内にあるレーベルで創立20周年が近い。200作品以上がリリースされているらしい。

 メンバーは、Eric Legnini(p)、Franck Agulhon(ds)、Mathias Allamane(b)、Rosario Bonaccorso(b=4,6,10,11)、Stephane Belmondo(tp=4,6,11)、Julien Lourau(ts=4,10)

 収録されているのは以下の通り。オリジナル曲が中心だ。

1、Funky Dilla
2、Nightfall
3、Trastevere
4、Big Boogaloo
5、Reflection
6、Where Is The Love
7、Smoke Gets In Your Eyes
8、Honky Cookie
9、Goin' Out Of My Head
10、Mojito Forever
11、Soul Brother
12、The Preacher
13、Smoke Gets In Your Eyes (Trio Version)=日本語版ボーナス・トラック


 さあ、始まりだ!1の最初で、ドラムスの音が鳴り、ピアノが力強く音を刻む時から、身体はウキウキである。2は、一転してバラード。ベースが響いて、でも心地よい。
 3のはっきりと伝わってくる鍵盤の音が耳の中を踊ったあとは、4のトランペットとサックスが入ったファンキー。手足が動くとはこのことだ。
 5は、Ray Bryantの作品。カッコいい。50年代の一番ジャズが輝いていた時代が帰ってくるようだ。手、足、腰がまわる。6は、トランペットがうたう、ワン・ホーン。

 少し落ち着こう。7で、スタンダードをソロ・ピアノで楽しむ。どこか寒いヨーロッパの街角を思い起こさせる雰囲気だ。ところが、8で、さらに反転、グイグイ・サウンド。ファンキーだ、ぞー! ベースがいい。
 次は9、パーティが終わって、バーのカウンターで女性を口説くのだ。そう、カッコつけるのである。なので、10は2管。ピアノ・ソロでは、音が転がる。テーマは耳から離れない。11のソロの背後でうなるEric? 音を探して、辿って、鍵盤を叩く表情が見えそうだ。トランペットの音もいい。

 12、鳴り始めた途端に、ガーンとくる。ゴスペル。快楽。神に酔える無神論者、スピノザの国、オランダはベルギーの隣。私はスピノチスト。そんなこととは無関係に、この演奏はラストにぴったりなため、日本語版のボーナス・トラックは余計だ。

 最後の13。これはこれでいいけれど、順序と場所が悪い。最後は駄目。途中に入れてくれた方が嬉しかった。

 無条件に楽しめて、快楽に溺れることのできる素敵なアルバムである。勿論、『Miss Soul』も入手し、ニヤニヤ聴いている。それは次に。

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