2007年3月21日

Bob Rockwell『The Joker』のテナーでバーボンを

 レコードが文字通り「記録」であるならば、昨年、堪能したBob Rockwellの来日の、まさに「記録」である。デンマーク・コペンハーゲンに本拠を構えるテナー奏者、Bob Rockwellの『The Joker』(Marshmallow Records)だ。
BobRockwellTheJoker.jpg
 9ヶ月たって、その音を聞くと、一気に横浜の夜の湿気を思い出す。眼の前でライブ(生)で聴いた人と音がここに帰ってくる。
 どんなに過去の名盤が名盤でも、眼の前には帰ってこない、決して。

 もちろん、厳密には録音の日時は違う。私が聞いたのは06年6月1日のライブだし、録音は6日の杉田劇場だ。でもメンバーは同じで、曲目も重なっている。アナログの2チャンネル、ダイレクト録音したのが特徴。

 Bobは古き良き時代のテナーの音を今に伝えてくれるテナー奏者で、その歌心と音色がお気に入り。それに何より「カッコいい」おやじなのである。1945年のマイアミ生まれというから、今年62歳。
 初めてMarshmallow Recordsの前作『Black Jack』を聴いて、以前の録音も含め、買いまくった。Dextor GordonやHank Mobleyといったお気に入りのテナー・マンの直系である。

 もちろん、ジャズ・クラブで、グラスを傾けながら聴きたい。自宅でもバーボン・ロック(Double×Double)である。

 メンバーは以下の通り。Bob Rockwell(ts)、Kasper Villaume(p)、Jesper Bodilsen(b)、Rasmus Kihlberg(ds)。

 収録は以下の通り。
1、Cheese Cake
2、When I Grow Too Old To Dream
3、Mean Greens
4、Portrait Of Jennie
5、Work
6、The Joker
7、Teeter Totter
8、Bounce Blues
9、Time After Time
10、Phil's Delight
11、I"ve Got You Under My Skin

 最初の1から、聞き慣れたメロディーがきちんと胸に刻みつけられる。悠然としたソロの背後で、ピアノがラインを支える。ピアノ・ソロもちゃんと心地よく響く。何と言っても人気のKasper Villaumeである。2では、思わず手を叩きたくなる安心感のあるテナーによるメロディーから、ベース・ソロに耳を澄ませる。ピアノもグー。
 3は、ライブでも聴いた曲。Bob Rockwellの立ち居振るまいが想起される。
続く4、太いテナーの音が腹に響く。サックスをこうでなくてはいけない。エンディングのテナー音に頷きながら、バーボンを飲む。よしよし。

 5のモンクのメロディーがテナーにのると、全体にコミカルで腰が浮き浮きだ。嬉しいなあ。6はタイトル曲。後ろに引き下がりながら前につんのめって行くリズム感がたまらない。夜の大人のジャズ・ピアノも楽しめる。7では曲の組立と構造を楽しむ。ピアノ・ソロの転がる音も楽しむ。

 8では気分がうきうき。Bobの音色を味わう。一転して9では、しっとりと、また、テナーの音に聞き耳を立てる。グラスの氷が溶け、チャリン。一口飲むバーボンである。10はBobのオリジナル。テーマ・ソングのようで、ご機嫌なフレーズが嬉しい。ピアノ・ソロが音をカッコよく刻む。
 最後はコール・ポーター作のスタンダードで締めくくる。歌う謡う唄う謳う。

 私のオーディオ装置が貧弱なのだろうけれど、上不さんがおっしゃていた素晴らしいベースの音が背後に隠れているように聴こえてしまうのだけが残念。

 またBobのライブを聴きたいもの。コペンハーゲンに行った方が、早いか?

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