2007年5月13日

昔のままで抜群サウンド、Horace Silver

 昨日に引き続き、ご機嫌サウンドで週末を過ごす。Horace Silver Quintetの『Jazz Has A Sense Of Humor』(GRP Records)である。
HoraceSilverSenseOfHumor.jpg
 大ベテランが若手を引き連れ、好々爺といった感じで演奏を繰り広げる。良き時代のジャズをちゃんと披露してくれる。

 ピアノストのHorace Silverだけれど、古い人のように感じて、最近聴いていなかった。
 ジャズを聴き始めた頃、Art Blakeyと並んで、良く聴いたミュージシャンの一人で、その「ノリノリ」感が大好きだ。一方、存命で年をとったベテランによる最近のアルバムを聴くと、「あれれ」ということも多い。
 「聴かなきゃ良かった」。昔の恋人には会わない方がいいように。

 その最近の録音(とはいえ、10年ちかく前)であるけれど、好きなトランペッターの一人、Ryan Kaisorがメンバーに入っていたので買ってみた。それにタイトルが「ユーモア感」である。腑抜けた短いフレーズを重ねるだけの単細胞ではなさそうだ。

 聴いてびっくり。かつてのご機嫌サウンド、そのままといっていい。発展とか進歩がどうとかは、考えないでいい。更に、録音にボーカルは入っていないが、ほとんどの曲に歌詞がついている。聴きながら文字をたどる興趣も楽しめる。小声で歌ったりする人もいるだろう。

 しかし、活躍期間の長いピアニストである。1928年生まれで、来年80歳だ。1954〜55年録音の「Horace Silver And The Jazz Messenger」(Blue Note)で、指を立てたジャケットが、印象的だが、50年以上前の話し。すごいものだ。
 2003年には「Rockin' With Rachmaninoff」を出している。

 「ファンキー」の代名詞。1950年代から70年代にかけて、ジャズの名門レーベル「Blue Note」の屋台骨を支え続けたといってもいい。
  
 本作は、1998年録音で、メンバーは、Horace Silver(p)のほか、Ryan Kisor(tp)、Jimmy Greene(ts,ss)、John Webber(b)、Willie JJones III(ds)。

 収録曲は以下の通り。すべてHorace Silverのオリジナルだ。

1、Satisfaction Guaranteed
(The Mama Suite)
2、Part I : Not Enough Mama
3、Part II : Too Much Mama
4、Part III : Just Right Mama

5、Philley Milie
6、Ah-Ma-Tell
7、I Love Annie's Fanny
8、Gloria
9、Where Do I From Here?


 1から、シンプルに音を刻むピアノが印象的。管がメロディを唄う。トランペットとテナーもソロでご挨拶。2から「ママ組曲」の3曲。Horace節というのだろう。何とも変わらないバッキングが溜まらない。頑張れ、Silver! ちなみに、この曲は、痩せ過ぎのママ、だそうだ。
 で、3は太り過ぎのママ。森高千里の「オムレツ」の歌のよう。サックス・ソロが印象的。聴いたことのあるようなメロディを、ピアノが繰り広げる。年季の入ったベテランの味だ。第一、自分のオリジナル自体がすでに「スタンダード曲」なのだから、楽というか、すごいというか。4のママは、丁度良いらしいけれど、うーん。ちょっと恐い感じだ。

 5、ピアノ・ソロが好き。転がり、唄い、流れる。6で身体が左右に揺れる。管とピアノが、気持ちよくはまる。カッコよかったアメリカのパーティのよう。7は、スリルがあって、ドラマチックで、大音量で酔いたい。くすんだ薄暗い部屋には、空いたバーボンのボトルが転がっているのだ。トランペットが遠くに向かって、ゆったり叫ぶ。バックのピアノは相変わらず。いいのだ。

 8ではソプラノ・サックスの音が耳に残る。愛する女性への思いを訴えている。最後の9。タイトルのように、どこへと言われても、ずっと変わらず「ジャズ」を聴かせてくださいといったところ。心を落ち着いて終わる。

 5月も中旬。はやいものだ。

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