iPodに関する本2冊、これまでと未来
発売前に本が出てしまうのだから、たいしたものだ。AppleのiPhoneである。
アメリカでの発売予定は6月だが、日本での発売はアナウンスされてもいない。1月の「マック・ワールド・エキスポ」で「電話を再発明する」と発表された話題の製品で、その完成のため、MacOSXの新バージョンの発売が遅れたほどだ。
関東学院大学准教授の岡嶋裕史さんの『iPhone 衝撃のビジネスモデル』(光文社新書)は、製品の紹介ではなく、そこに込められた「ビジネスモデル」の重要性を強調する。
使いやすいインターフェイスが、パソコンと携帯電話、家電等の壁を取り払い、単なる広告モデルに変わる新しいビジネスモデルが誕生するという。
これまでの情報家電、ユビキタス(すでに死期か?)が、いかに利用者にとって不便で使いにくかったかということ。携帯電話モデルの限界。さらにすでに半分死語になったWeb2.0への批判がベースになり、そこから収益をもたらすためのヒントがiPhoneにあるという訳だ。
もちろん、Appleが作り上げたユーザー・インターフェイスと、そのブランド・イメージが圧倒的に優れていることは言うまでもない。ちなみに私もマック・ユーザーである。ただ、個人的にはiPhoneが、そんなに売れるとなぜ皆が言うのか、正直分からない。
6年前も、「こんなの売れるのだろうか?」と先行きが不安だった。発売直後に購入した重いiPodを手にした時の第一印象だ。
が、これだけ売れたのだから、どうなるかは分からない。携帯電話自体をあまり使わないことも懐疑的になる原因だ。それと、全面がタッチパネルになっているので、電話として使った後、ベタベタと画面が汚れるのは気にならないのだろうか。それがユーザー・インターフェイスの自由度を上げている理由なのだけれど。
それより、容量の大きいiPodを作って欲しいものだ。あのiPhoneのインターフェイスで。
もう1冊読んだのがスティーブン・レヴィ氏の『iPodは何を変えたのか?』(上浦倫人訳、ソフトバンク・クリエイティブ)だ。
スティーブン・レヴィ氏は、米Newsweek誌の記者で、『ハッカーズ』や『マッキントッシュ物語—僕らを変えたコンピュータ』などで有名。
こちらは、iPod開発と発展をめぐるドキュメントで、Appleのスティーヴ・ジョブズや、Microsoftのビル・ゲイツとのやり取りなど、筆者ならではの取材が魅力だ。自慢話と思う人もいるだろうけれど。
要は、必然と偶然が、本当に上手く積み重なってヒット商品が生まれる、ということ。
ところで、この本は、本筋とは違うエピソードも面白い。iPodユーザー同士の戦争、「趣味攻撃」だ。
駅などで眼前にiPodをつき出す。現在演奏中の曲目を見せつけるためだ。見せられた方も、自分のiPodを相手に見せなければならない。そして、訳知り顔の評論家には認めれているけれど、大衆には知られていないバンドを聴いていた方が「勝ち」なのである。Bill Evansは、Mike Petroneに負けるようなものだろう(?)。
「自動レコード批評」という論文も紹介されている。MITメディア・ラボの研究者らの論文で、デジタル形式の楽曲のファイルを解析し、ネット上の音楽関連テキストの意味解析と関連させることで、人間に聞かせなくても「適切なレコード批評」を自動生成できると主張しているそうだ。ある意味恐い話しだ。それに対抗する評論家も大変である。レコード会社の事情も解析してくれるのだろうか。
iPodを使うようになり、圧倒的にCDを買う枚数が増えた。理由は単純で、聴くことの出来る時間が急激に増えたため。音質、道徳的善し悪しの問題はあるけれど、欠かせない日用品である。現在5代目のメインがiPod(80GB)。スポーツクラブ用にクリップ型のshuffleを使っている。古くなったiPodは外付けハードディスクやメモリとしても再活用できるのが便利である。
買い替えた携帯にワンセグ・テレビの機能がついていてびっくり。受信料は取られるのだろうか?

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