ギターの入ったトリオで山中千尋さんを楽しむ
大好きなジャズ・ピアニスト、山中千尋さんの通算7作目のアルバム。前作『Abyss』から半年で、びっくりするようなペースだ。

年末に急逝したジャズ・ピアニスト、オスカー・ピーターソンへのオマージュという位置づけ。ピアノ、ベース、ドラムスのトリオではなく、ドラムスの代わりにギターである。オスカーの古いスタイルを模している。
そのせいか、しっくりと落ち着いた冬の夜に相応しい肌触りに仕上がっている。
ジャケットの裏面、文字と直線のデザインも美しい。オスカー・ピーターソンへの思いを示すかのように、目をつぶって鍵盤を見下ろすジャケット写真も魅力的だ。
メンバーは山中千尋さん(p)の他に、Avi Rothward(g)、脇 義典(b)。収録曲は以下の通り。
1、All Of Me
2、There Will Never be Another You
3、Cinfirmation
4、You'd Be So Nice To Come Home To
5、Sioux City Sue New
6、All The Things You Are
7、Over The Rainbow
8、Everything Happens To Me
1は、くっきりとしたピアノで始まる。メロディーは聞き慣れた大スタンダードで、音が転がる。リズムを刻むギターが新鮮。嬉しくなる終わり方で、ニヤリ。2も、楽しそうだ。ベースがいい。思わず首が動き出すようなピアノ・ソロがいい。何といっても、ピアノとベースの「会話」が心に染み入るのだ。
で、3。うきうき、コンファメーション。チャーリー・パーカーの超有名曲。楽しさが伝わってくる。パーカー、バーカーである。4では、ギターの音を楽しむ。日頃、あまりギターは聴かないけれど、時にはいいものである。Aviのリーダー作『Twin Song』(Midlantic Records)も聴いてみた。ギターも良いものである。
ピアノ・ソロは、いつもの「山中節」、本人の声(?)も聞こえる熱演だ。
笑顔で音を交わしあう、3人の姿が浮かんでくるよう。
5の鉄琴がかわいい。ピアニカといいちょっとした楽器を、アルバムやライブで素敵に操る山中さんである。これはキース・ジャレットの作品で、あまりオスカー・ピーターソンとは関係なさそう。が、聞き手の胸にしっくりと伝わってくる演奏であることは同じ。
6は『Outside By The Swing』にも収録されたスタンダード。前作は、ドラムスが印象的だったけれど、今回は「しっとり感」が特徴。素直にピアノの流れに身を任せよう。ベース・ソロもいい。7では、期待感高まるイントロから、気分が徐々に高揚し、虹を越えるのである。しっかりとメロディーをピアノが刻みつつ、ギターが楽しそうにエッジの効いた音を鳴らす。畳みかけるピアノ。最後の8に相応しいゴージャズなスタート。お馴染のメロディのはずだけれど、豪華。
収録曲は8曲だけけれど、時間は35分強でちょっと短め。でも、山中さんのスタンダード集を聴いてみたかっただけに大満足。もっと聴いていたいけれど、それもともかく、次に山中さんはどんな音楽を聴かせてくれるのだろうか。楽しみ感ばかりがつのるのだ。

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