タイガー大越さんのスタンダードを楽しむ
ジャズの花形楽器、トランペットで、スタンダードを楽しむアルバム。初夏の夜、こじんまりとしたジャズ・クラブで聴きたい。

タイガー大越さんの『Tiger Okoshi Plays Standards』(Geneon)。「A60 JAZZ」というシリーズ3作同時発売の一環。日本人のトランペッターの作品を買うのも珍しく、これを手に取ったのは当然、山中千尋さんがゲストで演奏しているからだ。
タイガー大越さんは、1950年、兵庫県芦屋市生まれのトランペット奏者。ボストンのバークリー音楽院の教授で、たばこ「CABIN」のコマーシャルで有名。
稲岡邦弥さんの「Producer's Note」によると「A60 JAZZ」とは、60歳前後、60歳以上、本物指向の60代といった幾つもの意味を重ね合わせているという。団塊世代の「聴きたい」ジャズということ。その狙いが、うまくいっているかどうかは、分からない。
でも、とても素直にスタンダードを楽しめる。
ちなみに同時発売の残る2作は峰厚介さんと向井滋春さんの『Plays Standards』だ。
「スタイリング:菊池武夫」となっているが、コメディアンのようなズボンとゴム草履、俳優(誰か名前が出てこない)に似ているタイガーさんのおどけた写真を見る限り、あまりピンとこない。
定年を迎えた団塊世代をターゲットにした企画ものや再発売モノでも何でも、楽しい作品が手に入るようになるのは、嬉しい。新書ブームで、百花繚乱、誰が買うのか! と言いたくなるなど様々なジャンルや書き手があることを知ったように。
メンバーは、竹下清志(p)、鈴木良雄(b)、Tommy Campbell(ds)。
ゲストとして、日野皓正(tp)が5と10。山中千尋(p)が3、7、8。道下和彦(g)が2、4、6、7、9にそれぞれ参加している。
収録曲は以下の通り。
1、Smoke Gets In Your Eyes
2、Tenderly
3、'Round Midnight
4、Memories Of You
5、Days Of Wine And Roses
6、Home
7、Charles Newcomb Square
8、Summertime
9、Gentle Rain
10、I Remember Cliford
まず最初の1では、トランペットのソロが、ゆったりと歌って始まる。夜のクラブで聴くような心地。ピアノも優しく耳を包む。2でも、ギターの音が印象的な出だしから、トランペットが入る。これもまたこじんまりとしたジャズ・クラブで聴いているようだ。シンプルなピアノの音がいい。飲みたくなってきた。
山中さんの登場する3。待ってましたとばかりに、印象的なピアノの投擲で始まる。耳から離れないフレーズを繰り返し力強く刻む山中さん。ピアノ・ソロは、大好きな山中節。都会的である。そこかしこで、山中さんの演奏を楽しんで終わる。更に飲みたくなってきた。
4がベースとギターの音が気持ちよい。トランペットも音がとても自然に聞こえてくる。きっといいオーディオ・セットで聴くともっと素敵であろう。酔った耳にはさぞ良く.....。5は、世界の「ヒノテル」が加わって、トランペット2管による小気味よいアンサンブル。二人を聴き比べられて楽しい。6は、タイガーさんのオリジナル。懐かしい感じのするメロディー。ある意味日本的。おじさんの「琴線」に触れるのだろう。ピアノも印象的。
そして7。これもタイガーさんのオリジナル。もちろん、ピアノに聞き耳を立てる。スイング感というのだろうか、両手からたたき出される音色とフレーズにニコニコである。さらにピアノ・ソロではご機嫌な山中節が満載。あれ、あっ、これ、おっ、とニヤニヤしながら聴いているのだ。ソロが終われば、大拍手。続く8は、低くて恐い出だしから、お馴染のメロディーがトランペットから出る。ピアノがトランペットをもり立てる。ソロも素敵。ちょっとカクカクしたかと思えば流れて、耳について、ニヤリとさせられる。いいなあ。
9はボサノバである、ラテンだ。このままギター、ベース、ドラムスのトリオでもいいなあ、と思うとトランペットが「そうは問屋が卸しませんえん」と入ってくる。夏の気だるい夕方と思うのは、あまりに条件反射的である。しかし、ギターの音が似あうのだ。
最後の10。トランペットと言えば、Cliford Brown。で、「クリフォードの思いで」である。夭折した後に作曲されただけに、アルバムの最後には相応しい(?)。ここでも、二人のトランペットが重なり合って、楽しめる。そして、素晴らしい終わり方。
今日から6月、クール・ビズ。上着とネクタイ不要が嬉しい。

コメント
私もジャズとお酒が大好きです。タイガーさんのアルバム毎日聴いています。
心が解れてニコニコしてきます。
Posted by Kaz Harada at 2009年1月 2日 09:20
Kaz Haradaさま
おはようございます。
コメント、ありがとうございます。
ジャズとお酒はどうして、こうも相性が良く、にこにこになるのでしょうか。
不思議です。
タイガーさんのアルバムもいいですね。
よいお正月を。
kenyama
Posted by kenyama at 2009年1月 2日 09:32
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