ジャズでも何でもいいけれど、ガンガンと楽しむ
梅雨入りし、湿度の高い不快な季節がやってきた。部屋も暑いけれど、逆にガンガンと聴きたい。

The Neil Cowley Trioの『Loud Louder Stop』(Cake)である。イギリスのピアノ・トリオで、全曲、リーダー、Cowleyのオリジナルで、普通なら、ちょっと恐くて手に取りそうもない作品。でも、ふと試聴したら、楽しそう。
帰ってきて聴いたら、大正解。ふふふ、iPodでも何度も繰り返し聴いている。
Neil Cowleyは、もともとのピアノを弾いていた。その後、ポップスに転向。イギリスのインディーズ・レーベル、Cakeから2008年にリリースされたのが本作品。
いわゆる「ピアノ・トリオ」だけれど、あまり聞き慣れたジャズらしさは感じられない。ロックを聴いているような気分にもなれる。まあ、心地よければそれでいい。夏なんだから、ビールを片手に聴きたい。
メンバーは、Neil Cowley(p)のほか、Richard Sadler(b)、Evan Jenkins(ds)。収録曲は以下の通り。タイトルに続く()内は、各タイトルに添えられている形容句(?)。
1、His Nibs (An old dog whose bark thankfully outweight his bite)
2、Dinosaur Die (We are the new ice age)
3、Scaredy Cat (Thats me)
4、Ginger Sheep (The individual who feels compelled to follow)
5、Clumsy Couple (We dropped her)
6、Captain Backfire (The bad joke man in my life)
7、Well (A deep source)
8、We Are Here To Make Plastic (Maybe thats it)
9、Synaesthesia Traffic (Smell triggers taste triggers sight triggers sound)
10、Street Paved With Half Baguettes PT2 (It signifies a crossing of the class divide)
1の初っぱなから引き込まれる。ピアノがドラムスがベースが、叩いて、響いて、ウェルカム・ドリンクのよう。身体が自然にうねる。ストンと終わる。2では、ピアノが高音を響かせながら、静かに流れる。まあ、ジャズではないのかもしれないといった、ふつふつよ沸き起こるほのかな懸念をよそに、耳は引き込まれていく。少しずつ盛り上がっていくのだ。メロディがいいのだろう。余韻を残しながら終わる。1とあわせ、終わり方が好き。
雰囲気を変えた3で、ちょっと内面に迫ってくるような、引っかかるようなフレーズがいい。力強く、静かな感じから、ぐいぐいと迫ってくる「構成」も魅力的。4はまた、コミカルな1曲。「モスラ、モスラ、ゴジラの友達...」というふざけたフレーズが頭に浮かぶ。元気が出るピアノで、ニコニコ聴けるので電車内で聴くには注意が必要だ。しかし、これも「ジャズ」かどうかは、よく分からないが、終わり方がまた素敵。
どの曲もタイトルが考えさせられる。タイトルの後に続く、文章も不思議だ。5は、不器用なカップル?だそうだ。ピアノが一生懸命音を投げ掛けても、受け止めないリズム・セクションというわけでもないし、ある段階に達した二人は外から分からない。6では、くっきりと刻まれるピアノのメロディ、緩急が「backfire期待外れ?」だろうか。繰り返されるフレーズが身体を揺する。
クールダウンの7。ゆっくりピアノの高音がたゆたう。おおらかな気分で、すこし感情を鎮めて、内面を見つめるのだろう。一転して、8は元気にスタート。メロディ、フレーズがどれも印象的で、頭の中に滑り込んでくる。もちろん、これは「ジャズ」ではない、という人もいるだろうけど。ゲキゲキに身体を揺すって、首を振ってしまう。3者が、ずんずんと盛り上がっていく様子が目の前に浮かぶようだ。
9は共感サウンド。優しい気持ちになれるだろうか。涼しく響くピアノに耳を傾ける。ビールよりブランデーだ。ジンでもなさそうだ。ベースのアルコがいい。最後の10、バゲットを敷き詰めた道? フランスパンなら食べたいぞ、はともかく、階級が交錯するストリート? それはそれでフランス革命繋がりか。確かに、ドビュッシーような気もしてきた(まさか!)。ちゃんと、激しく大きな音に成長するのである。
どの曲も終わり方が、プチンと切れ味良く、余韻も何もなく、よい。出だしも、イヤー・キャッチとして重要だと思うけれど、終わり方も大事。

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