ワインを片手に、渋谷のJZBratで楽しいライブ
東京・渋谷のJZBratは、素敵なジャズ・クラブである。青山のBlue Noteや丸の内のCotton Clubのように敷居は高くなく、ちょっとユルい雰囲気がいい。オープン8周年を記念したシリーズで、大好きな山中千尋さんのライブが5月24日開かれた。

ベースとドラムスのメンバーも新顔。赤ワインを片手にのんびりと2ステージを楽しんだ。
日曜の午後は雨模様。会場は満席。男女のカップルも多く、山中さんご指定の「サトウサヤ」を使ったフルコースもある。私は単なる赤ワイン。ボトルでぐびぐび。うまいのである。ジャズ評論家の岩浪洋三さんの姿も見える。
気のせいかもしれないけれど、日ごろ、山中さんのライブで見かけない人も多く、人気と知名度が確実に上っているのは嬉しい。もちろん、どこかで見かける人たちも。
夏で暑いせいか、ワインの減りも速い。セカンド・セットまで持ちそうもない。うーん。
18時5分過ぎ、素敵なワインピースで登場。彼女が日本で初めて演奏したのがJZBratだとのことで、「思い出して、楽しくやります」と、演奏開始。一気に飛ばして、大丈夫かと不安になるくらいのスタートだ。
メンバーは、群馬県の伊勢崎出身の須川崇志(b)、福岡出身でシカゴにいる田中徳崇(ds)の各氏。初めてのトリオで、それも楽しみである。
演奏したのは以下の通り。
ファースト・セット
1、Living Without Friday
2、When You Wish Upon A Star
3、Take Five
4、Girl From Ipanema
5、Antonio's Joke
6、Yagibushi
セカンド・セット
7、Taxi
8、Liebesleid
9、A Sand Ship
10、Cleoptra's Dream
11、Beverly
12、Impulsive
アンコール
13、What A Diff'rence A Day Made
14、Aquarian Melody
1は、のんびりした雰囲気の漂うMCと、うって変わって、元気に都バス、もとい、飛ばす演奏が心地よい。ベース・ソロもいいし、ピアノも激しく、ぐんぐん! 大丈夫か、と声を掛けたくなるほどだ。
2は対照的にしっとり。ピアノの鍵盤に向あう。音を解き放つ、弱力の力技。青い照明と壁をバックに、どんな願いが込められているのか、思いをはせる。それでも、徐々に力が入って、中腰である。ベース・ソロが乾いて、響く。
本日の特製カクテル「ロング・アイランド・アイスティ」の紹介もきちんとはさみ、3。ピアノも軽快に進んで、一ひねりあるフレーズが嬉しい。山中フレーズ(節)を交えて、ゴー!ゴー! ベースとドラムスも、ちょっと脱力系でよい。ボサノバの有名曲の4は、速いテンポで、お祭り気分が満載。ピアノ・ソロの反復感もたまらない。遊び心のあるアドリブでご機嫌である。咆哮するソロ。でも、後半はしっとりと「イパネマ娘」を低音で響かせ、ベースを唆す。
「家に泊めて」とうるさいものの、決して恋人ではないアントニオにちなんだ5は、大好きなオリジナル曲なので、嬉しい。ベース・ソロも素直だ。エッジのくっきりしたピアノがいい。何だかアントニオが羨ましくなる。6は、低音の出だしで、刻むフレーズが耳に残る。どこが八木節なのかと思う間も無く、ドラムスが攻める。のりのりで、時間が気になってしまうが、19時22分終了。
休憩中にワインは無くなり、Four Rosesのシングル・バレルをストレートで。うまい。ただ、8年経ってガタがきているのか、椅子の背もたれが壊れかけていて、倒れ過ぎ。こわい。
20時28分、3人が登場。
後半最初は、清々しい7。ベース・ソロがしっとりとよい。8は激しくガンガンと進む。何度聴いても、飽きない。
9は、かつてJZBratで弾いた曲だという。澤野工房の『Living Without Friday』の出来たばかりのジャケットを見た時だという。カモメが印象的なイラストで、夕焼けのバージョンなどができるなどと話していたらしい。その9はゆっくり、しっとりと始まり、ドラムスがブラシで受け止める。
10は、テンポが速く、「ドリーム」というより「ジェット・ストリーム」。11はベース・ソロが可愛い感じで、全体に優しい気持ちになれる名曲だと思う。12は一転して飛ばす。ドラムスも爆発、ベースもカキコキキンコキコキと掛けあってよい。山中さんも高音を投げ掛ける。21時41分、メンバーの自己紹介も終わって、一旦終了。
アンコールの13は、エフェクトをガンガンにかけて、元気である。夜は更けているのに。高音のキンキンがたまらない、続く14は、あっさり終わって、さよならである。21時55分。
余韻を楽しみ、近くの焼き鳥を食べて、日付は変わっていくのであった。

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