2009年6月13日

多彩なピアノを一気に楽しむ 100 Gold Fingers

 今年で11回目となる富士通スペシャル「100 Gold Fingers」の東京公演(6月7日、東京・五反田ゆうぽうとホール)を聴きに行った。「ニューヨークからピアニストが消えた!!」をうたうイベントで毎回10人のピアニストが来日し、共演する。
100Fingers.jpg
 もちろん、お目当ては大好きな山中千尋さんだが、Junior ManceやCedar Walton、Kenny Barronらが眼の前で演奏するのだから、楽しみでないわけがない。

 開場の15時半過ぎに到着する。折角なので、お酒を断って大人しくしていようと思うのだが、気付くと630円の生ビールを手にしている。結構大きなカップだ。ぐびぐび。窓の外が見えるので、明るいうちからビールを飲むのは幸せだ。

 舞台の背後には、青い看板に「100 Gold Fingers」と記され、ピアノ2台とドラムス・セットとベースが並ぶ。

 予定の開演時間16時半を少し過ぎて、階上が暗くなって、全員が登場。最長老のJunior Manceが全員を紹介。山中さんは、素敵なワンピースドレスである。
 顔の筋肉が緩むのが分かる。量が質に転化するわけではないが、アルバムで聴いたことのあるベテランがニコニコしている舞台を見ていると、それだけで嬉しくなる。

 出演したピアニストとリズムセクション(スペシャル・ゲスト)は、以下の通り。当初予定していたベーシストGrady Tateは体調不良で交代している。

Junior Mance
Cedar Walton
Joao Donato
Don Friedman
Kenny Barron
Ted Rosenthal
Cyrus Chestnut
Benny Green
山中千尋
Gerald Clayton

スペシャルゲスト
Bob Cranshow(b)
Joe Labarbera

 演奏したのは、以下の通り。

ファースト・セット

Ted Rosenthal
1、I Love You, Porgy
2、Alone Together

山中千尋
3、Yagibushi

山中千尋 & Gerald Clayton
4、Caravan

Gerald Clayton
5、Sunny Day Go

Kenny Barron & Cyrus Chestnut & Benny Green
6、Autumn Leaves
7、Satin Doll
8、C Jam Blues

セカンド・セット

Cedar Walton
9、Holy Land
10、Cedar's Blues

Don Friedman
11、Stella By Starlight

Joao Donato
12、A Ra - Nagoya

Don Friedman & Joao Donato
13、Body And Soul

Junior Mance
14、Emily
15、Jubilation

アンコール(全員)
16、Take The "A" Train


 さて、最初はTed Rosenthalだ。一人で登場し、端麗な響きたのしませる。2では、トリオになる。オーソドックスなドラムスで、素敵だ。

 2人目に山中さんが登場。大拍手。舞台から何かしゃべっているがマイクがないので分からない。最後に「八木節」と言うのは聞こえたので、曲目の説明だったのだろう。ドラムスとベースのイントロがあって、元気印の八木節だ。スタンダードが中心の選曲になるこのコンサートで、何といっても、山中さんの演奏を初めて聴く人も多いだろし、出身地の民謡をアレンジした本作を披露するのは、えらい。
 4ではGerald Claytonが登場。ツイン・ピアノだ。先日の東京TUCでも組んだ二人で、やりとりが興味深い。重々しくグングン進んで、山中さんのソロも心地よい。

 5ではGeraldが一人残って、ソロを披露。内省的な感じで、クラシックのピアノ曲を聴いているよう。

 6からが面白かった。Kenny BarronとCyrus Chestnut、Benny Greenの3人が登場し、舞台上をうろうろ。要はピアノのイス取りゲームである。2台のピアノを3人で真摯に譲りあうのだ。
 最初の6は、Kenny Barronとリズムセクションのトリオで始まる。背後をCyrus ChestnutとBenny Greenが歩いて、援護(?)する。次はBennyが、ソロを引き継ぐ。素敵で綺麗なソロ。そうこうするうちにCyrusが、向かって左側のピアノに座る。のっとりとした音色のソロが始まる。しかし、Cyrusはとてもでかい、巨漢である。差別語で「デブ」とも言う。結局、Kennyが右ピアノに座り戻り、メロディーを崩してしめる。うーん。舞台を観ていて、聴いていて、こんな贅沢なスタンダードがあろうか。幸せである。
 つぎはBennyのトリオでスタート。Kenny、Cyrusとピアノは交代する。途中で、Cyrusが「とおりゃんせ」を披露したり、どこまでも3人で音楽は進んでしまいそうだ。
 で、17時40分、15分の休憩だ。

 もちろん、ビールをもう一杯。しかし、ワインとかウイスキーも欲しい。公共の施設はアルコールに厳しいので、困りもの。飲みすぎないでいいけれど。

 18時に後半がスタート。Cedar Waltonのトリオだ。激しいイントロから9が始まり、10もトリオで演奏した。動いているCedarで感動する。失礼か。Don Friedmanもトリオの演奏。すてきなおじい様といった風情で、端正なピアノが嬉しい。

 さて、一転して雰囲気の違う「おじさん」Joao Donatoが登場。ピアノを弾くのをそっちのけで、客席に手拍子を指導する。ボソボソ、ボサノバを歌う。乾いた哀愁の漂うボサである。しかし、グッド、すごーい、スバラシイを連発する陽気なおじさんだ。

  13は、好々爺といった風情のDonと、ラテンなJoaoの共演で、ご機嫌である。いいなあ。

 締めは、Junior Mance。14はしっとりと聴かせ、15はスイング感が心地よい。やはりエンターテナーである。18時45分、終了。

 全員が舞台に上がって、あいさつ。最後に、全員が順繰りにピアノに座って、16を演奏。札幌から山口まで回ったツアーのエンディングで祭りの終わりで、盛り上がる。未だ明るい19時前に終了。

 贅沢な2時間。ニューヨークはやはり楽しそうである。飲みに行きたいもの。

 明日は、山中さんとJoao。かなり、楽しみである。

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