これこそ、「ザ・展覧会」。炭鉱展を目黒区美術館で
展覧会を企画するのが学芸員である。最近はキュレーターと、カタカナで自称する人もいる。
そう、12月27日まで開催中の「´文化´資源として<炭鉱>展」(東京・目黒区美術館)こそ、学芸員の渾身の力作。そして、これこそ「ザ・展覧会」で、どこかの有名美術館や有名作家の作品を集めるだけの催事とは、まったく違う知的興奮と感動を全身で体感できる。
美術館での展示は二つに別れている。Part 1は「<ヤマ>の美術・写真・グラフィック」として、本展の中核をなす展示だ。
Part 2は、現代美術作家の川俣正さんの「川俣正コールマイン・プロジェクト 筑豊、空知、ルールでの展開」として、目黒区美術館区民ギャラリーで新作のインスタレーションが展示されいる。
変わり種としては、映画館のポレポレ東中野でPart 3 「特集上映<映像の中の炭坑>」が同時開催されていることだ。未見だか炭坑のPR映画やドキュメンタリーなど、何だか楽しそうなプログラムが並ぶ。
さて、メインとなるPart 1 だ。
最初の展示室で。みっちりと学べるのが、炭坑での人びとの姿。山本作兵衛(1892-1984)の絵画などで、石炭を掘るだけではない人びとの暮らし、喜怒哀楽を堪能する。山本は炭坑夫で、記録として作品を膨大に残した。
2階は絵画と写真がメインだ。向井潤吉や横山操といった有名作家から地域に密着した作家まで、てんこ盛り。同じズリ山(採炭の際の屑を積み上げた山)を描いた作品は、その山の特徴的な形状(銀河鉄道の発車台のようだ)とあわせて、見比べていて楽しい。
倉持吉之助の日本画の技法による夕張の風景はとても目に新鮮だ。技法と素材に違和感を感じるのは、既成の感性にからめ捕られているからだろう。
大きな岡部昌生のフロッタージュも印象的。まわりには労働組合などのポスターが貼られ、特定の時代を感じさせる。軍艦島や各地の記録写真もある。
この「炭鉱」という特定のテーマをめぐる総合的な企画で、図録も充実している。いや、図録というより「記録」、ドキュメントである。正木基さんはやはりすごいのである。
Part 2の川俣作品は、炭鉱をめぐる膨大で、エネルギッシュな展示から比べるとちょっと力がない感じ。しかし、現在一番エネルギーの有る作家の一人なわけで、それさえも凌駕させる「炭鉱」の「文化度」はすごいものだと実感する。
もう一度、ゆっくり見に行きたい展覧会だ。

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