2010年1月23日

ツイッターで妄文

 ツイッターが流行っている。eWorldでも、Facebookでも、SecondLifeでも何でもとりあえずは、登録するので登録した。

 http://twitter.com/kenyama/

である。
 140字という制限がいい。原稿用紙で7行。ほぼ三つで1枚だ。削ったり、推敲する楽しみもある。
 そこで、昔から使っているペンネームで、妄想を書き始めたら、これが楽しい。だれもフォローせず、だれからもフォローされないので、140字の原稿用紙がわりだ。
 試しに、まとめてみたら、うーんである。
 交互に書いているのを別々にペーストしたのがいけなかったか!

(古い話し)

 海岸線を見ながら、列車は走る。明石大橋が見える。食堂車でビールを傾けながら、見る車窓は格別だ。
 車掌が来たので、岡山に着く時間を確認する。事前に伝えてある時間の通りで、間違いない。内田とホームで話が出来るはずだ。
 二等車はガラガラだったけれど、三等は混んでいる。春の移動シーズンだからだろう。火星からやってきたような団体もちらほら。

 くわえ煙草で内田はホームに立っている。ホームは、禁煙のはずだ。約束の現金を渡す。
「下関に着いたら電報を送る。それまで現金は手もとに置いておいてくれ」
「うん。連絡が遅そすぎたら、飲んでしまうが、約束しよう」
 発車ベルが鳴る。
 デッキのドアを閉める。彼に会うのはこれが初めてで、最後だ。

 関門海峡は暗闇に沈んでいる。漁船だろうか小さな船の灯りは、赤白く左右に明滅する。宿は、市場に近い赤岩荘で、季節外れのふぐが並ぶ。飲み過ぎた身体には、干からびたゴムにしか見えない。芸者のお座敷芸を見ているのが精いっぱいだ。
 駅から電報を打ったので、約束の男に現金は渡ったはずだ。

 取引の条件は簡単だ。現金と引き換えに、われわれは「モノ」を手にする。呉服屋で反物を買うより簡単で、寸法を測ったり、試してみる必要はない。ただ、そのモノは、扱いが厄介だ。
 人間だ。ひる日なたを歩けない。見つかると厄介な人間だ。彼には苗字がないのも特徴だ。

 引き渡しは釜山。明日は、関釜航路で向かう。東京から一枚の乗車券で行けるのが不思議だ。大陸間連絡だそうだ。そのまま花の都、パリまで行きたいところだが、京城までの往復乗車券だ。往復割引があるのが嬉しい。
 現金が榎本に渡っていれば、明日にはご対面だ。どうしたものか?

 国際連絡だけに免税でお酒は安い。パリまで行けないから、せめてワインを飲む。しかし、朝鮮半島北部で日本軍が試験栽培しているブドウを使ったワインで、原料が「ぶどう」であることを認識できるだけの味。
 ボイが電報の紙片を持ってくる。「プサンH1400」。自動的に消滅しないだけ便利。

 初めて来た。釜山港に帰れ、と言われても困るけれど、まず車を探す。指定されたので、一人旅には見えないくらいの大荷物だ。
 日本語が通じるのは便利だが、彼らの朝鮮語が分からないのは不安だ。良くは言っていないことは分かる。
 船は定刻に着いたから、指定された14時には十分間に合う。
 ホテルのレセプションで、また電報を渡される。これからの時代、通信業が繁盛することは間違いなさそうだ。Leeさんに会えばいいらしい。まわりのほとんどが、李さんだと思うが。
 ところで、恩賜の煙草はあまり美味しくない。虎やの羊羹よりはいいが20箱も抱えてきたのは、どういった了見か。
(つづく)


(最近の話し)

 青山通りを渡って、そば屋に入る。鴨せいろ、日本酒は冷たいのを一本頼む。ぐびぐび。
 玲子を待っているのだが、当分来ないだろう。酔っぱらわないように気を付ける。
 真っ赤なワンピースを着て玲子が店に入ってきた。約束の現金を持ってきているはず。
 冷酒はすでに三本空けている。飲み過ぎである。キスをする。
 車に乗って、ホテル・オークラに移動する。部屋は取ってある。久しぶりに会った玲子の身体はきれいだ。
 来週会う約束をして別れる。現金は黄色い封筒に入っていた。

 初めて玲子と会う約束をしたのは、高校2年生の時だった。映画を見に行ったのだ。確か、オードリー・ヘップバーンが主演する映画だったはず。その時は、別件の話で盛り上がり、飲むことはなかった。そりゃ、そうだ。高校生だから、お小遣いもしれいている。飲みたくても、飲めないね。キスだけ。
 青山墓地から防衛庁の辺りを二人で歩いた。桜の季節が綺麗なのは分かっているけれど、墓地と桜ではでき過ぎた。
「とりかえしのつかないことをしよう」
 二人で誓い合った。
 あれから10年以上の月日が経った。二人で泊まるくらいの取り返しはつくが、この現金はちがう。まず、絶対に取り返せない。

 現金は駅前の三菱銀行の貸金庫に預ける。部屋に持って帰ることもない。来週までに解決して、笑って玲子に会いたいと思う。心の底から、そう思う。
 部屋のPower Macintosh 7100に電源を入れる。Welcome to MacintoshのHappy Macが無事表示され安心だ。先週、漢字Talk7.5を入れたばかりで、トラブルが続いていた。eWorldにアクセスして、メッセージを確認する。
 ホテルのミニバーから、ぱちってきた赤ワインを空ける。ボルドーの比較的新しいもので、舌の上で味がふっくらと口腔を満たす感じがいい。
 音無からのメッセージを占めるアイコンが点滅しているけれど、アップル・コンピュータのデザインは、緊迫した状況には似あわない。KDDの国際電話は嫌いだ。

 音無の話しは変だ。約束のお金と引き換えに、ものは手に入るはずで、手付けとか、前払一時金といったものではないということだった。少なくとも先週のファックスにはそう書いてある。
 さらに、追加の条件があるのならまだしも、その先は年が明けてから提示すると言われて、お金を払う人はいない。

 「この話しはなかった事にしよう」
 音無は、返事をしない。無音でも電話代はかかる。大声だと高くなる料金体系をとる電話会社があると楽しいけれど、パケットで料金を取るのと同じことだから、最初に思いついたNTTドコモは楽しい会社だということになる。
「明日、ロスに来られないか」
(つづく)

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