無くなるお店
小学生のころから、買い物は渋谷だった。星一つが100円、黒い星で50円の岩波文庫を熟読・含味して買った。「学問のすすめ』とか。
東急文化会館にあったのが三省堂だ。東横線に乗って買いに行った。
国鉄・上野駅の地上ホームのような行き止まり式の終着駅から、右に屋根付きの陸橋を渡ると、東急文化会館。屋上にはプラネタリウムがあり、地下と、三省堂と同じフロアに映画館があった。映画館は混んでいて、階段に行列ができることも多かった。三省堂は陳列している本に愛情は感じられないけれど、投げやりな感じの本の並びが好きだった。
紀伊国屋書店は、文化会館とは反対、駅の西側にある東急プラザにある。確か、記憶の最初では3階にあったけれど、改装で5階に上がっていった。3階のころが好き。本に対する愛情は感じるのだけれど、ちょっと荒れた感じ。今から思えば、これが「新宿」カルチャーなのかもしれないが、
旭屋書店は、駅の北側、ハチ公の向こう側・地下にあり、なんだか場所が汚くて、好きになれなかった。本はきちんと並んでいるし、愛情はあるが、ぱっとしない。でも比較的新しいのではないかな。新玉川線ができる前にあったかどうかの記憶はない。
それより、北側には大盛堂があった。エスカレーターで何階にも(2階は銀行で素通り)渡って本があるのがうれしかった。官報などを売るコーナーで「日本国有鉄道監査報告書」を買ったものだ。鉄道公報、交通新聞を定期購読(郵便で届くだけだけど)した中学時代。
小学生のころは怖くて、連絡橋のある三省堂にしか通えなかったが、中学生になってずぶとくなったのだろう。小難しい本もあって、パラダイスだった。
それが今。
三省堂のあった東急文化会館は無くなり、紀伊国屋書店はあるけれど、旭屋書店はブックファーストだ。ブックファーストは、一時期ビル全体(元パチンコ屋、今H&M)でうれしい品揃えだったが、旭屋が撤退した後に入って、品揃えは.......。八重洲ブックセンターに並ぶ品揃えを誇った大盛堂は見る影もない。西武百貨店のB館地下の本屋もない。
初めてジャズのCDを買った池袋のWAVEはなく、その後、取り憑かれたように買った渋谷のHMVも8月で閉店だという。
一番真剣に本とCDを物色していたお店が無くなる。合掌。学生時代、お世話になった森毅さんが亡くなられた。また、ひとつ日本の世間は世知辛くなった。
