札幌コンサートホールKitaraで山中千尋さんがキララと輝く
8月23日夜。盛夏は終わり、更に涼しい札幌で、山中千尋さんのスペシャル・トリオを楽しんだ。今年で5年目を迎えた北のジャズイベント「サッポロシティジャズ2011」の最終日を飾るスペシャル・ライブという位置づけ。

6月の群馬・太田市新田文化会館エアリスホール以来となるスペシャルなメンバーで、翌日(24日)に発売されるニューアルバム『Reminiscence』からの新曲も披露してくれた。
最寄り駅は札幌市営の路面電車で、すすきのからコトコトと、路面電車で会場に向かう。中島公園という大きな池や文学館のある緑豊かな立地(リッチ)で、期待感と雰囲気が高まる。池は冬に凍結し、スケートやカーニバルで盛り上がったこともある由緒ある公園だ。
18時30分、定刻に開場し、赤ワインを頂く。東京、大阪で見慣れた顔はいないかと思えば、数人いらっしゃるのでびっくりする。自分もだが。
パイプ・オルガンが舞台の後ろに控える。2000人規模のクラシック音楽ホール。札幌コンサートホールKitara大ホールは、山中千尋さんの10周年を記念するコンサートにふさわしい舞台で、セッティングされた舞台から醸し出されるオーラが違う。。ロビーでは、新譜が先行発売され、行列ができる。終演後のサイン会がアナウンスされると、更に列が伸びる。
メンバーは、井上陽介(b)、江藤良人(ds)で、演奏したのは以下の通り。
1、Outside By The Swing
2、Take Five
3、Antonio's Joke
4、When You Wish Upon A Star
5、Rain, Rain And Rain
6、Giant Steps
7、Sing, Sing, Sing
8、Twinkle, Twincle
9、So Long
(アンコール)
10、2:30 Rag
11、Yagibushi
19時37分、会場の照明が落ちて、3人が登場。山中さんは、えんじ色のワンピースで、とても美しい。
長いイントロで1が始まる。聞き慣れたメロディに続いて、打つドラムスと弾けるベースの2人もいい。引き続く2では、3人が賑やかにテーマを奏でる。ベース・ソロが切なく歌うのだが、どこか笑わせる「藝」が混じる。井上さんは芸人である。負けじと山中さんもソロをくり出し、掘り下げていく。ドラムスも力が入る。
「素晴らしいリズム・セクションを紹介します」としてメンバーを紹介。「気持ちのいい会場で演奏できて嬉しいです」と息を切らしながら、「人格が変わったように、自分でも怖いくらいに、激しくなってしまいます」と話す。続いて、「井上さんをフィーチャーした」3が始まる。
ちょっとゆったりと大好きなメロディーがスタートし、すぐにベース・ソロが始まる。耳をそばだてる。頼りないアントニオ君にふさわしい感じの、ぴったりなソロがいい。ピアノも思いのこもったフレーズと違ったアレンジで楽しい。シャレにならないくらいだ。ジョークから進化したのだろう。
4は、イントロに続き、しっとりと落ち着いたテーマ。ベースもしっとり、ドラムスのブラシも光る。星が目印の北海道にぴったりの曲で嬉しくなる。
翌日(24日)発売の「新アルバム『Reminiscence』は、デビューして10周年、今年は震災もあり。元気になれたら良いなと作った」。
その収録曲である5は、ピアノのイントロで始まりベースとドラムスが入ってくる瞬間がたまりません。うまい、流石なメンバーである。転調もかっこよく、ドラムスとベースもご機嫌である。6は、コルトレーンで知られる名曲で、アレンジを聴きこらす。煽って、煽ってテンポが速い。イクイク、で井上さんはへとへとだ。
続く7も速い速い。ドラムスがそそのかすのだ。投げ込まれるピアノのフレーズが面白く、楽しい。ベースは、歌って、踊って、ベースを弾いて。井上さんはすごいのである。一転、ピアノのアレンジも変わっていて、訴えかけてくる感が高まる。サマータイムも入って、大満足。「Saturday In The Park」に戻ってきても素敵。
メンバーを改めて紹介し、ヤンキースのオーナーに呼ばれて延々演奏したのがきっかけという7の裏話を披露する。フランスのラジオ局で今週のアルバムに、前作『Forever Begins』が選ばれことも。
この公演のスポンサーであるノーザン・ホース・パークは、馬の牧場を中心としたテーマパーク。で、そのテーマソングである8と9を続けて演奏する。「静かな曲で終わらせたい」。
8は「いいことがあるかなあ」とラグ調のメロディで、すぐに9に入る。これも素晴らしいメロディで、ベース・ソロも、一挙手一投足が笑える(?)。泣きのソロ、メロドラマみたい。アルコまで入ってすごいのである。しかし、どこが「静か」なのか。3人が舞台中央で礼。21時。
拍手とアンコールを求める熱気で、3人が再登場。10は手の込んだバージョンになりつつあり、ブギウギ風のイントロの11では、更なる低音のアレンジが効いている。21時13分、演奏終了。鳴り止まない拍手とスタンディング・オベーション。
ロビーのショップはCDを求める列とサインを待つ列。山中さんの登場を一目見ようと集まる群衆で大騒ぎだ。サイン会が終わったのは、22時過ぎ、お疲れさまでした。
涼しい北の夜は更けていく。
